日本に住む外国人労働者の増加が予想される今、労働者の子どもたちに対する日本語教育環境の整備が必要になってきています。
親が日本で働くことになり一緒に訪日したものの、日本語がわからず生活に支障をきたす子どもたちや、学校に馴染めない生徒も大勢いるんですよね。
その実態と日本語教師を目指す私たちが出来ることをまとめてみました。
目次
外国人児童を取り巻く環境とは?
日本に来て間もない外国人児童は、どんな課題を抱えているのでしょうか?
訪日前の語学力や学校での様子を見てみましょう。
1.日本語を学ばずに訪日する子どもたち
子どもたちのほとんどは、母国で日本語を学んでいない子どもたちばかり。
文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(平成26年度版)によると、日本の学校に在籍していても日本語が理解できない児童生徒の数は37,000人いるそうです。
高校・大学生であれば母国に残ることができますが、小学生以下の幼い子どもは親と一緒に日本に来るしか選択肢がありません。
そのため、幼児期に日本に連れてこられた子どもたちが日本語を学ばないまま大きくなり、小学校に入学して日本語の難しさに苦戦してしまいます。
2.学校の授業についていけない
日本の学校に通うことが出来ても、授業で先生が何を言っているのかが理解できません。
学校側も日本人と外国人を同時に指導しているため、授業中に外国人の子どものためだけに日本語をひとつひとつ教えることが出来ないのが現状です。
そのため子どもたちは日本語がわからないまま授業に参加し、だんだんと学習の遅れをとることに。
残念なことに、日本語が上手に話せないといじめを受けてしまう生徒もいるようです。
親が一緒にいるうちは良いですが、外国人児童が将来大人になったときが問題ですよね。
母国語も日本語もままならないまま、仕事先を見つけなくてはいけません。
3.日本語指導者・予算不足の現実
「外国の子どもたちが困っているなら、より手厚い教育をすればよいのでは?」
私もそう思いましたが、実は国の予算が少ないのが現状です。
学校で日本語教育専門の先生を受け入れようとすると、国や市で負担する必要があります。
また、日本の教育現場は外国人児童に対するケア以外の業務も多数あり、なかなか日本語を教える時間を取ることもできません。
専門的な知識を持つ指導者の受け入れや、予算を増やすのは現時点では難しい状況です。
外国人児童はどのように日本語を身につけるの?
今、日本に住む外国人児童は実際にどのように日本語を習得しているのか調べてみました。
1.学校教員の放課後授業
外国人の子どもたちが多い学校では、学校教員が放課後に日本語を教えています。
また外国人生徒のための特別クラスを設けている学校もありますね。
他にも、日系三世の子どもなどが先生や通訳に変わってお友達に日本語を教えてあげることもあります。
ただ専門家が常駐している学校は少なく、十分な学習の機会はありません。
2.通訳・オンライン講師など
子どもの日本語学習のためにお金を使える経済力のある家庭は、通訳をつけたり自宅学習を行わせる親たちもいます。
しかし、それはごく稀なこと。ほとんどの子どもたちは学校で教えてもらうことがほとんどです。
母国語を話せるようになる前に訪日した子どもなどは、通訳をしてあげたくても、そもそも母国語が理解できません。
日本語と母国語、どちらも学んで欲しいというのが親の願いでもあります。
母国と日本をオンラインでつなぎ、子どもに両方の言語を習得させている家庭もありますね。
3.NPO法人・他学校が行う日本語授業に参加
市内の小中学校に通う外国人生徒を受け入れ、継続して日本語を学ぶ機会を与える教室もありました。
栃木県の「かけはし」では、市内の小中学校に入学・転校した外国人の日本語習熟度に応じて最長6カ月間、通級することができるそうです。
現在、同教室には10カ国の25人が通級する。専任教員1人とポルトガル語やスペイン語などが話せる非常勤指導員6人の計7人で対応している。市教委によると、外国人児童生徒の就学率は、開室した08年は76%だったが、近年は90%を超えているという。
(下野新聞より一部抜粋)
日本語が理解でき、学校に通うことのできる外国人児童が増えていますね。
今後はこのような専任教師や日本語教師が協力して、外国人児童の日本語教育を支えていくことになるのではないかと予想できます。
まとめ
いかがでしたか?
外国人児童が増え続ける今、日本語教師の需要は高まってくることが期待されます。
特に児童への教育は、学校教員だけではかなりの人員不足なはず。
外国人労働者が増えることで、国や市も日本語教育の重要性に気づき、学習環境を整える施策に投資することを願うばかりです。