-日本語教師の資格取得を目指す方へ-
公認日本語教師(国家資格)の進捗、日本語教師養成講座の比較、日本語教育能力検定の対策等、日本語教師として活躍するために必要な情報を発信しています。

実体験!外国人に「日本語を教える」ということ

SHARE

実体験!外国人に「日本語を教える」ということ

日本語教師を目指すにあたって「日本語を教えること」に毎日向き合う私ですが、講座や参考書などの勉強だけでわからないことは多い。そんな風に思うことがあります。そう思うようになったのは、自分の昔の経験があったから。初心を忘れてはいけないな、と昔を思い出しながら今回は書いてみました。

私は数年前に、海外で日本語を教えた経験があります。  教師としてではないのですが。

そんな実体験を紹介します。

突然「日本語教師」になる私

【出会い】2泊3日のホームステイ

私は少し前まで、海外で2年ほど生活をしていました。そこで「現地語に慣れるように」と所属団体より司令を受け、現地のファミリー宅に2泊3日のホームステイに行った日のことです。

私が現地に行く前、事前に知っていたのは家族構成と小学生の女の子がいることくらい。その国は家族以外にも親戚も一緒に住むことも多いため、子どもたちがたくさん来たら楽しいだろうな、なんて想像しながらホームステイ先に向かいました。

「教師を目指す」女の子

そこで、現地の小学生の女の子に出会いました。彼女は私に興味津々。「突然なんだ?日本人が家に来た。」そんな様子の彼女。確かに自分が小さい時、突然親がアメリカ人連れてきたらびっくりしますよね。そんな感じです。

彼女の夢は「先生になること」でした。そして、勉強熱心な彼女は「日本語を知りたい!」と一言。その一言で現地語を学びに来たはずの私が、逆に「母国語を教える」側になりました。大学で少し日本語教師の勉強をしていたけど、突然日本語を教えるなんてどうしよう。何から教えればいいの?というか、彼女は一体いつ日本語を使う機会があるのかしら??

でもとりあえず、せっかくだし教えてみようか。ということで日本語レッスンが始まりました。

人生初の日本語レッスンを経験!

「これは日本語で?」答えづらい質問の数々・・・

事前準備も何もなく、もちろんインターネットも使えない状況です。とりあえず彼女の質問に答えていくことにしました。当日、彼女に呼ばれて部屋に行ってみると彼女の手には何やらびっしりと書いたメモが。どうやらこれを全て日本語にして欲しいらしい。なんだ、「おはよう」「こんにちは」とか挨拶程度じゃないのね。正直、小学生だから簡単な単語くらいで・・・と思ってましたが、彼女は違いました。

しかも友達まで集まってきて「あの、おしりから空気が出るやつは?」「頭が良くない人のことは?」ここには、なかなかダイレクトに書けないのでやんわりと書かせてもらいましたが、うーん。そこはやっぱり小学生なのだな、と思うこともありました。

やっぱり「愛」は偉大!

それでも、友達が帰ってからも私と彼女は二人で勉強を再開。そこで、最後には「I love you」って何て言うの?と質問が飛んできました。この国は、とても家族を大切にする国です。

誰に言いたいのかな、いつこの子はこの言葉を使うんだろう。もしかしてこの言葉を日本人に言う日が来たら・・・なんて想像すると嬉しくなってしまい、私の指導にも熱が入ってしまいました。

そして、言葉を説明するのは本当に難しいなと感じたのもこのときです。日本で「好き」と伝えるときは「友達に向けた場合と、恋人の場合は違う」というのは説明できます。だけど、この子の言っている「I love you」の熱量は一体どれくらいなんだろう?と。もちろん彼女は英語も出来るので、お互いに説明し合います。でも、なんというか「この説明で伝わっているかな?」と感じたり、説明が難しいなと思うことが多かったのです。

まとめ

こんな形で突然始まった日本語教師体験でしたが、最後には持っていたメモに書ききれないくらいの日本語を持って、彼女は笑顔で自分の部屋に帰って行きました。部屋への廊下を歩く彼女はブツブツと一人で何度も日本語を唱えており、何だか微笑ましく嬉しくなりました。

このとき感じたことは日本語教師の仕事について、学校でも色んなことを学ぶけど「これを日本語で言いたい!」に答えるのも仕事のひとつだなということです。

「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で・・・」と、有名なセリフではないですが、本当に勉強しているだけじゃわからないなと思うことが多いです。特に、教育現場では生徒と先生がいます。みんな同じ教科書を使っているのに、先生は皆ほとんど同じ教育を受けてきているはずなのに。理解できる生徒もいれば、講義を聞くことすら辛い生徒もいる。そんな大変な現場は大変だろうけど、早く行ってみたいなと思った午後でした。