日本語教師になる前に磨いておきたいスキルの第3弾、今回は「柔軟性」です。
授業では「生徒が思ったより理解してくれない」「なかなか積極的に授業に参加してくれない」といった思わぬ事態が発生することも予想されます。そんなとき役立ちそうな柔軟な発想とはどのようなものでしょうか。
「柔軟性」とは?
定義
柔軟性とは、「その場に応じた適切な判断ができること。さまざまな状況に対応できること」とされています。既に決まっているルールや自身の考えにこだわりすぎず、あらゆる人の意見や状況に合わせることのできる能力を指します。
「柔軟性」の具体例
では、実際の例を見てみましょう。
Aさんの話を聞く、BさんとCさんの反応に注目してみます。
議長
発案者
(良いアイディアが思いついて)
「こんなアイディアもあるかなと、思いまして・・・」
参加者A
参加者B
参加者c
「柔軟性」と考えた場合、参加者A~Cではどの返答が適切でしょうか?
正解は「参加者B」です。
参加者Aは、アイディアについて褒めていますが「時間」や「決まったこと」を重視しています。もちろん決められた時間内で決定することが大切ですが、せっかくの良い案をないがしろにするのはもったいないですよね。仮に時間がなかったとしても「このアイディアを活かすために出来ることはないか?」と一度考えてみる柔軟性が大切です。
参加者Cは会議終了間際にも関わらず、良いアイディアを採用するという点では柔軟性があります。しかし、このあと全参加者が会議を2時間も延長することは可能でしょうか?他の参加者の意見や仕事の状況はどうでしょう?
正解の参加者Bは、その点についてもよく考えられた発言をしています。この会議の目的は「良いアイディアを考え、決定すること」ですよね。しかし、時間の制約もあるというのが現状です。そこで、アイディアも大切にしつつ、会議後の参加者についても配慮がみえる意見となっています。
日本語教師における「柔軟性」
それでは実際の「日本語教師としての現場で」使えるスキルを見てみましょう。
「柔軟性」が必要な具体例
教師
「それでは、グループの代表者は前に出て発表して下さい。」
生徒
【回答Aの場合】
回答A
生徒
【回答Bの場合】
回答B
生徒
いかがですか?
同じこと(前で発表するのが良いということ)を伝えているのに、生徒への柔軟な問いかけで子どもたちの学習意欲や参加する態度が変わっているのがわかりますよね。
気をつけたいポイントは「自分だけが正しいのか?」と考えていくことです。もちろん、教師は指導する立場であり、教える経験や知識も豊富かもしれません。
しかし、子どもの柔軟な発想が授業の質を上げてくれることもあります。
また、一見間違っているのでは?と思う生徒の意見でも「生徒に間違えさせること」もひとつの教育です。失敗することで「次にどうすればよいか?」を自分で考えることにつながりますよね。生徒の意見を尊重しながら、「この授業で生徒のどんなところを伸ばせるか?」を常に考えることが大切かもしれません。
「柔軟性」が生徒に与える効果
では「柔軟性」を身につけることは、生徒にどのような良い影響があるのでしょうか。
- 授業への積極的な参加(生徒の意見に柔軟)
- 生徒とともに授業を作ることが出来る(授業内容に柔軟)
- オーダーメイドな授業/堅苦しさがない(計画に柔軟)
柔軟性の具体的な効果は、先程の教室の会話に挙げた通りです。
決められたことを続けるのは規律があるようで、実は生徒にとっては退屈でやらされているだけの授業になってしまうかもしれません。生徒の様子から機転を利かせることも大切ですよね。
まとめ
今回は「柔軟性」をキーワードに調べてみました。柔軟性を身につけることで、生徒の意見や多様なアイディアに合わせ、楽しく授業を行うことができそうな気がしませんか?
しかし、「柔軟性」は魅力・効果は十分ですが、注意も必要です。それは「柔軟性=規則がない」というわけではないということ。前述した「会議を2時間延長する」の例のように、良いものを全て取り入れることが必ずしも良いわけではありません。その場に合わせるということは、当初の計画を変更する必要があります。どの程度まで変更ができるのか、いますべきことはなにか。そういった「最初のルール」と「その場に合わせる」バランスが大切になります。
日常生活でもこの意識を持ってみると、トレーニングになるかもしれませんね。
私も日頃から意識して会話をしてみようと思います。