『骨太の方針2018』シリーズ第3弾は、外国人労働者の日本語能力の図り方です。
これまで骨太の方針の概要から、外国人労働者が学ぶ日本語の内容等をまとめていました。
今回は、この法案では「外国人労働者はどうやって日本語力を判定されるのか」について考えてみたいと思います。
日本経済新聞によると、外務省は外国人労働者の受け入れ拡大に備えて新たな日本語能力テストをつくることを発表しました。
外国人労働者は「どこで」「どのような」日本語を学んでいるのか?
現状を知った上で、今後の新テストや内容について考えてみましょう。
外国人労働者はどのように日本語を学んでいるの?
まずは「外国人労働者の日本語の学び方」についてです。
留学生であれば大学等で日本語の授業を受けながら日本語を習得することが多いですよね。
では、外国人労働者はどのように日本語を学んでいるのでしょうか?
日本語の学び方は企業によって異なる
外国人労働者が日本語を学ぶ環境は、雇用される企業によっても大きく異なります。働く外国人が多く、学ぶ環境が充実している会社もあれば、全くサポートがない場合もありますね。
ここでは以下の3つに分類してみました。
自社に日本語教師がいる
外国人労働者が勤めている企業に日本語教師が雇われている場合があります。または日本語教師の資格保持者が在籍しており、通常業務に加えて日本語教育を行っていることも。
この場合、企業側としてはコストを抑えられますし、それぞれの職種や部門に合わせて教材や授業内容も柔軟に対応できるのでメリットが多いですね。
他社から自社に日本語教師を派遣している
続いては、場所は社内でも講師を社外から派遣してもらうケースです。
社内で受講できることは効率的である一方で、専門的な学習という面では自社の講師には劣るかもしれません。また日本語教師目線で言えば、今後はこのような派遣の日本語教師が増える可能性もありますよね。
サポートがなく、自分で探す
全く支援がなく、自分で日本語を学ぶ場所を探す外国人もいます。
忙しくて学校に通えない場合は、仕事後にオンラインで学習したり独学で日本語を身につける方もいますね。
新しく導入される「新テスト」とは?
様々な方法で日本語を学んだ外国人は、どのように日本語力を判定されるのでしょうか。
せっかく日本語を学んでも日本語能力が十分でないために在留資格を得られず、やむを得ず自国に帰ってしまったり、不法滞在となってしまうニュースも見かけますよね。
骨太の方針の閣議決定を受け、外務省によれば新たな日本語能力を図るテストを作成することとなったようです。
現在の日本語能力テストとは
既存の試験は留学生向けがほとんどで大学の講義や学生生活に関する内容が多い。利用者が多い「日本語能力試験」も受験者の3分の1は留学生だ。いずれも外国人労働者に必要な語学力が測りにくいとの指摘があった。(日本経済新聞より)
現在、外国人の日本語能力を図るテストとして最も有名なのは、この日本語能力試験。
試験の特徴は以下の通りです。
- 「読む」「聞く」技能をN1~N5の5段階で試験
- 職業に関する専門用語が少ない
- 「話す」「書く」の試験がない
介護分野等の技能実習生ではN4の取得が最低条件とされるなど利用者が多い一方で、内容に関する懸念も多いですね。
新テストで図られる技能とは
日本経済新聞では、新テストの内容や方法についての記載がありました。
日常生活や取引先との会話で必要な語学能力を測定する。電話応答やスケジュール確認など仕事で必ず使用する語彙・表現の習得を確認する。
受験者に迅速に結果を知らせるためコンピューターを使った試験を検討している。出題はリスニングとリーディングの2種類。将来的にはライティングとスピーキングを加える可能性もある。
日本で就職を希望する外国人は来日前に受験できる。まずベトナムやフィリピンなど東南アジアで始める方向だ。
この新テストは2019年4月頃より実施予定で、国際交流基金などが試験を作成し国内外で実施します。
しかし、出題内容についてはリスニング(聞く)・リーディング(読む)とあり、日本語能力試験との差別化に疑問も残るのが現状ですね。
語彙・表現などは働く外国人にとって習得すべき内容が盛り込まれることを期待し、将来的な内容の充実に希望を持ちたいです。
まとめ
以上、3回に渡って「骨太の方針2018」について考えてみました。
日本語教師を目指す私たちにとっても、非常に内容の濃いお話だったと思います。
「就職先や日本語を学ぶ生徒も増えて嬉しい!」とポジティブな見方もできる一方で、曖昧な判断基準にもどかしさも感じています。
ただ今後、日本にくる外国人が増えたとき自分にできることがあるということは何だか嬉しいなとも思いますね。
これからも日々、情報収集をしながら今後の動向を見ていきましょう。