2018年6月に閣議決定された『骨太の方針2018』を知っていますか?
正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針2018」(以下、骨太の方針2018)です。
この法案が今後の日本語学校・日本語教師に大きな影響を及ぼす可能性があるんです。
また法案決定に合わせ、次々に外国人労働者受け入れに関する法案や施策が可決・検討されており、日本語教師を目指す私たちは理解しておかなければならない内容だと感じました。
このシリーズに関しては内容が多いため、3回に分けて連載していこうと思います。今回は『骨太の方針2018』の概要とその他関連法案等をまとめてみました。
『骨太の方針2018』って?
読者A
物知りのおじさん
これまでの経緯
本法案内には「新たな外国人の受入れ」という題目で、外国人労働者についての記載があります。
そもそも、なぜこの項目が作られたのでしょう?
4.新たな外国人材の受入れ
中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきている。
このため、設備投資、技術革新、働き方改革などによる生産性向上や国内人材の確保を引き続き強力に推進する(以下、略)
2008年に「留学生30万人計画」を打ち出した政府。2020年までに30万人達成を目指し、実際に在留外国人留学生数は2017年に31万1000人を達成しました。その後、2017年には10万人以上の留学生が日本に来ています。
しかし労働者不足は今なお続いており、早急な改善が必要とのことで今回の法案に外国人労働者の受入体制強化の内容が盛り込まれました。
どんな内容なの?
日本国内の人材不足を外国人労働者でカバーしようという意向はわかりました。では、実際どのような施策がなされるのでしょうか?
4.新たな外国人材の受入れ
(中略)従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある。
このため、真に必要な分野に着目し、移民政策とは異なるものとして、外国人材の受入れを拡大するため、新たな在留資格を創設する。
これまでは限定的だった受け入れ対象者を拡大すること、そのために新しい在留資格を創設するようですね。
今後の流れは?
『骨太の方針2018』で外国人労働者受け入れ拡大を決めた日本ですが、まずは受け入れ体制の強化が優先されていく見込みです。
いくら間口を広げたところで、受け入れの明確な基準や環境整備が進まなくては人材補充どころか日本の経済にダメージを与えかねません。
そこで、関わってくるのが日本語教師。日本で働く外国人が増えるということは、日本語を学ぶ人が増えるということ。
出来るだけ多くの日本人教師を確保したい政府や日本語学校は、待遇の見直し等も検討しています。
日本語教師が知っておくべき法案は他にもある?
現在、年内にまとまると予想されている法案もいくつかあります。
そのうちの一つをご紹介します。
「出入国管理法改正案」の提出
政府は2018年11月、外国人就労の新たな在留資格「特定技能」の創設を盛り込んだ出入国管理法の改正案を閣議決定し、開会中の臨時国会に提出しました。
その内容を以下にまとめています。
対象者について
- 業種:生産性向上や国内人材確保への努力にもかかわらず、産業の持続、発展に外国人材の受け入れが必要と国が認めた業種
- 現在、14業種の希望がある
- 具体的な受け入れ業種は法務省令で定める
業種は以下の14種でした。
介護・ビルクリーニング・素形材産業・産業機械製造・電気・電子機器関連産業・建設・造船・舶用工業・自動車整備・航空・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造・外食
資格について
- 「特定技能」を2段階に分ける
- 特定技能1:相当程度の知識または経験を要する技能を持つ外国人(在留期間は5年)
- 特定技能2:上記に加え、さらに熟練した技能を持つ外国人(家族帯同を認める)
外国人労働者の知識・技能に合わせて在留期間なども変わってきます。日本語能力に関しても今後一定の基準を設けていくため、やはり外国人の日本語学習の機会は増えていくことが予想されるでしょう。
まとめ
このように外国人労働者の受け入れが拡大することによって、私たちの働き方や就職先についても今後大きな変化があるのではないかと思います。
これまで「稼ぐのが難しい」と思われていた日本語教師。
長い目で見れば今後、可能性が広がっていく職種かもしれませんよね。
次回は、外国人の受け入れ基準などを『骨太の方針2018』の内容に沿って内容をもう少し詳しく見ていきたいと思います。