今回は『骨太の方針2018』シリーズ第2弾です。
第1弾では概要とその他関連法案等をまとめていました。
続いては、この法案によって「外国人労働者はどのような日本語力をつける必要があるのか」について考えてみたいと思います。
受け入れられる業種も増え、外国人労働者を受け入れる企業によって求める日本語力や内容も大きくことなってきます。
それを知ることで、日本語教師として将来的に
・どのような就職先を選ぶことが可能なのか
・身につけておきたい日本語の内容は何か
ということがわかるはずです。
皆さんの今後の就職・学習へも役立てば嬉しいです。
『骨太の方針2018』から見る教育内容とは?
まずは、メイントピックでもある「骨太の方針」の内容からです。
本案では「外国人材に求める技能水準及び日本語能力水準」として、以下が明記されていました。
在留資格の取得に当たり、外国人材に求める技能水準は、受入れ業種で適切に働くために必要な知識及び技能とし、業所管省庁が定める試験等によって確認する。また、日本語能力水準は、日本語能力試験等により、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することが確認されることを基本としつつ、受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定める。
ただし、技能実習(3年)を修了した者については、上記試験等を免除し、必要な技能水準及び日本語能力水準を満たしているものとする。
要約すると、このようになりますね。
・受け入れ業種によって必要な内容・レベルは異なる
・試験等で日常会話力を確認
・技能実習修了者は試験免除
業種によって内容が異なるのは仕方のないことですが、制度や基準としては曖昧さが残る内容となっていますね。
外国人労働者が求められる日本語力とは?
では、骨太の方針内容をもとに外国人労働者に求められている日本語力を考えてみましょう。
日常会話
まずはどの業種であっても、最低限必要な日常会話です。具体的には以下の内容が挙げられますね。
- 挨拶・自己紹介
- 買い物・食事・交通機関の利用
- 質問・依頼・勧誘など
一見すると簡単に習得できそうな内容ですが、日本語の難しさは語彙数と表記にあります。日常会話を習得するために必要な語彙数は、英語で約3,000語に対し日本語は8,000~10,000語と倍以上の語彙が必要になります。
また、ひらがな・カタカナ・漢字など表記方法や読み方も様々ですよね。
ビジネス用語
同僚や上司と話すために必要な用語もあります。
- 電話・メールでの連絡
- 会議・プレゼンでの司会進行
- 業務を進めるための報告・連絡・相談
用語に加えて、日本のビジネスマナーの習得も必要ですね。
日本文化を紹介する教材の中で、会社で飲み会に行ったときの会話に「とりあえずビール」が紹介されていました。
なんとも日本人らしい・・・と思いましたが、このような細かい暗黙のルールみたいなものもありますね。
職種別用語
業種によって使われる日本語は様々。
「全体的にビジネス用語を学んでおけばいいのでは?」と思いがちですが、専門用語は日本人でも難しい単語・漢字がたくさんありますよ。
例えば、皆さんは「疥癬」の読み方や意味がわかりますか?
こちらは介護業界で使用される単語で「かいせん」と読みます。ヒゼンダニによる感染症の一種なのですが、私は読めませんでしたし、意味もさっぱりわかりませんでした。
他にも飲食業であれば敬語を習得する必要があるなど、外国人労働者が学ぶべき日本語は多いことがわかります。
ちなみに、骨太の方針にある業種は14種。
電気・電子機器関連、造船・舶用工業なども含まれており、難しい専門用語が多いことも予想されますね。
事務手続き・トラブル関係など
出入国や日本での役所関係の手続も、外国人にとってはとても難しいもの。
先日、区役所に行った際にも、手続きに困っている留学生を日本の学生2人が手伝ってあげているのを目にしました。事務手続きに関しては、外国人対応で英語を話せる役所・企業がある可能性はありますが、急なトラブル時にはそうはいきません。
特に事件や事故など、とっさのときは日本語が出ないし、通訳してくれる人もいない。日本は英語が通じない国とも言われており、被害者・加害者が英語を話せない可能性は高いですよね。
まとめ
「骨太の方針2018」を参考に、外国人労働者が求められる日本語力をまとめました。
外国人労働者の雇用が増え日本語教師が働く場所が増える一方で、学ばなくてはいけない内容も増えていくことが予想されます。
就職に強くなるためにも、専門知識を習得しておくことで周りの就活生と差をつけておくことも良いかもしれません。
次回は、実際に外国人労働者はどのように日本語を学んでいるのかなど、学び方や環境についても見ていきたいと思います。