日本語教師になる前に磨いておきたいスキル編、今回は「異文化理解力」について考えてみたいと思います。
私は大学生時代、国際系の学部に在籍し「異文化理解教育」を学んでいました。その後、2年間海外に住んでいたこともあり、海外暮らし初期の新生活が始まる楽しさから様々な苦労まで経験しています。そして今では、色々あったけれど、それでもやっぱり海外生活は楽しい!と感じています。
そこで今回は、異文化理解の中でも日常や授業で使える簡単なものを紹介したいと思います。
「異文化理解力」とは?
定義
異文化理解力とは、文字通り「自国以外の異なる文化を理解できる能力」のことです。
異文化理解の方法や順序は様々な書籍で紹介されています。ここでは「心理的適応度」を参考に載せておきます。
- ハネムーン期:全てが新しく、楽観的に異文化に対応できる時期
- ショック期 :新文化に敵対心を持ち、異文化をステレオタイプ的に捉える時期
- 回復期 :言語・環境にも慣れ、徐々に文化変容がみられてくる時期
- 安定期 :文化適応がほぼ完成。ストレスがなく、新文化を受容できる時期
実際に海外で仕事をする場合、このように異文化適応していくのが一般的です。また日本で教える場合は、教室内が小さな異文化とも言えるでしょう。自然な適応状態を知り、「理解」していくことが大切になります。
「異文化理解力」の具体例
では、実際の例を見てみましょう。
TOMさん
日本人女性
TOMさん
日本人女性
TOMさん
これは「ジョークの通じない日本人」の例ですが、私も実際に経験したことがあります。
以前、日本にいる外国人の友達と会ったとき「パンダが食べるのは?」と聞かれ、笹がとっさに出てこなかった私は「笹だよ、あの緑のさ・・・」と賢明に説明していました。
それなのに友達には「違うよー全然違うよー」と言われ、若干イライラしながらも、私は延々と笹の説明をした挙げ句、友達が「正解はパンなのにー」と。友達をしょんぼりさせてしまいました。パンダ、だからパン・・・。
真面目で英語の流暢でない日本人は、ジョークに付き合う心を忘れずにいたいですね。
日本語教師における「異文化理解力」
それでは実際の「日本語教師としての現場で」使えるスキルを見てみましょう。
「異文化理解力」が必要な具体例
ある日本語学校で、日本人の先生と外国人教師が話しています。
【テスト日の会話】
日本人教師
Lisa先生
「そうだけど、ちょっと私、明日休みたいの。今日は英語のテストするから、日本語は明日やってー」
【翌日、テスト前の会話】
日本人教師
Mike先生
日本人ならちょっとイライラしてしまいそうなケースですよね。でも、外国人からみれば「予定が変わる」「家族を優先する」「自分で確認する」が当たり前だったりもします。昔の自分なら「何で勝手に変更するの?そして次の日も出来ないってどういうこと?言ってくれればいいのに!」と怒っていました。
でもしばらく海外生活を続けていると、正直「そんなこと言わないとわからない」というシーンが本当に多いです。最初に「私は今日、日本語のテストをやるの!」と主張するのも良いし、「次は自分で確認しよう」という切り替えも大切です。
「日本人は協調性があり、時間や決まりを守る」ということを「あなたもそうすべきだ」と相手に押し付けることは出来ませんが、自己主張することは悪いことではありません。
「異文化理解力」が生徒に与える効果
では「異文化理解力」を身につけることは、生徒にどのような良い影響があるのでしょうか。
- 文化が違うからこそ「話し合おう」と思える
- 生徒を「理解しよう」という意識が生まれる
- 相互理解により、授業環境が良くなる
今回は生徒に与える効果だけではなく、良い日本語の授業を行えるよう自分にどんな教師力が身につくかも考えてみました。
日本語を教える立場でも、単に教授力がつけばよい、というわけではないですよね。
「どんな生徒に教えていくのか」「生徒がスムーズに理解できる授業とはなにか」そう考える時、相手の文化を理解することが大切になってきます。
まとめ
今回は実際に私が海外で2年以上暮らして感じたことを参考にしました。文化の違いって、頭では「相手を理解しなきゃ」と思っていても、突然の出来事だとイライラすることも多かったです。
今後海外で暮らしたいと思っている方や、日本語教師で外国人と交流する機会が多いという方の参考になれば嬉しいです。
また記事にも書いたジョークについては、日本人がジョークを言うと相手も「日本人なのにやるな」と言ったリアクションが返ってくることもあるので、慣れてくるととっても楽しいですよ。是非、お試し下さい♪