日本語教師の知り合いと話していて意外だったのが、「日本語能力」以外のスキルの習得についてでした。みんなが声を揃えて言うのが、実際現場に立ってみて自分に足りないなと感じるのがその他のスキルだそう。
そこで、自分が日本語教師になる前に磨いておきたいスキルについてまとめていくことにしました。
第1弾は「傾聴力」。教師なら「指導力」などが先に来るのでは!?と思う方もいますよね。でも実際に教えている人からすると、生徒の話をきちんと聴ける力が重要らしいんです。
「傾聴力」とは?
定義
傾聴力とは、簡単に言うと「耳を傾けて、熱心に聞く力」とされています。相手の話をただ聞くだけでなく、相手の気持ちに寄り添ったり、自分にどんなことを伝えたいのかなどを考えながら話を聴く力のことを言います。
「傾聴力」の具体例
では、実際の例を見てみましょう。
Aさんの話を聞く、BさんとCさんの反応に注目してみます。
Aさん
Bさん
Cさん
Aさんの立場でB・Cさんの返答を読んでもらえれば「どちらが自分の話を熱心に聞いてくれているか」は一目瞭然ですよね。傾聴のスキルは「オウム返し」「ミラーリング」など多くの手法がありますが、根底にあるのは「相手の話をきちんと聴くこと」です。
Aさんは「子どもが楽しそうで良かった」と言っているのに対し、「よく行くよね」というCさんの返答は、Aさんにとっては「私は良かったと思っているのに・・・」という結果を招きます。Aさんの気持ちに寄り添った聴き方が重要になってきますよね。
日本語教師における「傾聴力」
それでは実際の「日本語教師としての現場で」使えるスキルを見てみましょう。
「傾聴力」が必要な具体例
生徒
教師A
教師B
教師C
「傾聴力」と考えた場合、教師A~Cではどの返答が適切でしょうか?
正解は「教師B」です。
教師Aは、生徒に「前回説明した」という事実を伝えているのですが、「わからない」と言っている生徒に寄り添った返事ではないですよね。また、「どうして?」と聞かれても、わからないから相談に来ているはずです。まずは「生徒が今、何を困っているか」を聴くところからスタートしましょう。
教師Cは「友達に聞いてごらん」と解決策を提示しており、一見良さそうにも見えますが、いくつか問題もあります。ひとつは「簡単だよ」「友達はすぐ解けた」と言ってしまうこと。もし、生徒が一生懸命考えて「わからない」と相談してきたとしたら、友達は簡単に解けたのに君は解けなかったんだねと言われている気分になりませんか?
また「聞いてごらん」も優しさのひとつではありますが、「傾聴」という意味で、まず自分自身が話を聞いてあげること。最初に先生に相談に来たことは、生徒には何か理由があることもあります。一度、しっかり話を聞いてあげましょう。
「傾聴力」が生徒に与える効果
では「傾聴力」を身につけることは、生徒にどのような良い影響があるのでしょうか。
- 学習意欲が上がる
- 具体的な疑問点がわかり、生徒の理解度も上がる
- 授業に参加することの安心感
他にも様々な効果がありますが、これだけでも大きな違いがあることがわかります。
せっかく教えるなら、生徒にとって良い学習環境を作ってあげたいですよね。
また「よく聴くこと」それだけのことですが、効果は絶大です。カウンセリングやコーチングと呼ばれる分野でよく使われる「傾聴力」。専門家によれば、「聴くだけ」ですが、極めるとなるとかなり高度なテクニックらしいです。
確かに、普段誰かと話していても自分が話すだけになってしまったり、相手の話を聞けていないな、と思うことがあるなと自分でも気づきました。
まとめ
今回は「傾聴力」をキーワードに調べてみました。実際、現場では授業の中で教師が生徒に教える場面が多いですが、「質問をする」「発表させる」「テストをする」など細かく見ていくと色んな場面がありますよね。授業のみ担当している場合でも、授業前後の生徒とのコミュニケーションも大切になってきます。
また、日本語教師を目指している方以外でも「傾聴力」は使える場面が多いと感じました。友人との会話、家族とのやり取りなどふとしたところで意識を向けてみるのも良いかも知れません。