コロナ禍において入国制限等により、日本に留学ができないといった状況からプライベートレッスンの需要が右肩上がりで増加しています。ですが、養成講座ではマンツーマンの指導方法を学ぶ機会はあまりないはず。「プライベートレッスンは実施したことがないので難しい」「経験者でないとできない」等と思っている方も多いと思います。
この記事では「プライベートレッスンで気をつけた方が良いこと」についてまとめています。
目次
プライベートレッスン時に気を付けることは?
プライベートレッスンを希望する人の属性は様々です。
例えば日中は企業に勤めて就業後に日本語を学ぶビジネスマン、平日は日本語学校で勉強しさらに休日にも日本語を勉強する熱心な学生、子育て・介護と両立しながら日本語を学びたいという主婦等です。
そして、日本語学習者の多くが日常生活で日本人と交流する機会があまりありません。
そのため学習者にとって、日本語(日本との接点)は「先生の話す日本語(=学校で学ぶ日本語)」がすべてになってしまいがち。
プライベートレッスン気を付けること①:話し方
教師側も誰かから教わらないと気が回らないのが「話し方」です。
日本語は俗にいう「男言葉」「女言葉」のように、話し手によって話し言葉や表現が異なります。
例えば、一般的には女性が会話の末尾に「~だぜ」といった言葉を使用することは少なく、「~だね、だよ」といった文末になることが多いと思います。また女性が「俺は」・男性は「あたしが」といった自分の言葉を指す言葉を使うことも少ないですね。
複数の教師の授業を受けることができれば、学習者も自然と「日本語は違いがあるんだ」と気がつくこともできますが、一人の教師から学ぶことが多いプライベートレッスンは、話し方には特に注意した方が良いですね。
プライベートレッスン気を付けること②:学習者の生活リズムや目標を知ること
プライベートレッスンでは、その日その日の学習者の状況を見て、臨機応変に対応しながら目標到達を促す力が必要となります。
つまり、事前に「今日はこれとこれを教えよう!」と意気込んで準備をしていても、学習者の勉強量や理解度によって、臨機応変な対応が求められます。
教師・学習者ともに気持ちよく学習を進めるために、「初回カウンセリング時に学習者に生活リズムや目標を聞く」ことがオススメです。
例えば、1日に学習時間はどの程度確保できるのか、宿題の有無、会話中心なのか文法中心で学びたいのか等を聞くとニーズも見えてきます。学習者が自分でスケジュールを立てながら勉強できるように考え、日本語を学ぶことによってどのようになりたいのかを知ることが大切です。
プライベートレッスン気を付けること③:時差があることを認識する
コロナ禍において利用者が増えたオンラインレッスン。教師側も都合の良い時間帯をピックアップし、予約が入れば授業準備を行い、授業開始時刻にPCの前で待機します。手軽に始められるレッスンということで人気も出ていますが、注意が必要です。
教師側の都合の良い時刻が、時差があるが故に学習者にとっては「真夜中」「早朝」といった場合があります。「なかなか予約が入らない」と感じた場合、どのような国の学習者が多いのか、時差はどのくらいあるのか調べてみてください。「時差がある」ということを認識するだけで学習者の生活環境も理解できるような余裕も生まれてくることでしょう。
プライベートレッスンとクラスレッスンの違い
クラスの違い①:他の学生が教えてくれる(ヒントになる)
日本語教師デビューの場所として「日本語学校」を選ぶ方が多いと思います。日本語学校の多くは「クラスレッスン」という形で1クラス15~20名程を担当することが多いです。
日本語教師になりたての時、事前準備はバッチリ!と思っていても、いざ教壇に立つと思わぬ質問にパニックになってしまうこともあります。そんなときにクラスレッスンの強みは、「他の学生が教えてくれる」ということ。
一人よりも二人、二人よりも三人いた方が、より「ヒント」が出てくるはず。教師も生徒も安心です。
クラスの違い②:事前準備が特に大切
プライベートレッスンでは目の前にいる学習者だけです。わからない質問が出たときは、その場ですぐに調べることもできますが、焦らないように事前準備をしっかりしておくことをお勧めします。
また国籍によってはタブーなものもあるため、事前にしっかりと調べて配慮しておく必要があります。お酒の飲めない国の方に「私はビールを飲みます」とわざわざ発話させる必要はありませんよね。
まとめ
プライベートレッスンは学習者主体のため、まずは何より事前のニーズ調査が大切です。しっかりと学習者の状況を理解・把握し、学習者の目標とするレベルまで寄り添う気持ちを持って、対応をしていくと良いでしょう。
そして時にはペース配分を相談しながら、同じ目標に向けて目線合わせを行っていくことも大切です。