数年前から日本語教師の国家資格化について議論が交わされていますが、その後ニュース等で目にすることがなく、その後の動きが気になっている方も多いと思います。
この記事では、2021年5月に行われた文化庁の調査研究協力者会議の情報を元に、最新情報をご紹介します。
※現時点ではあくまでも「方針」のため、確定事項ではありません。
今回の会議での変更点とは?
前回までの会議では、新たに創設される公認日本語教師になるためには、以下の3つの条件を全てクリアすることが必須条件でした。
①日本語教育能力を判定する試験の合格
②教育実習の履修・修了
③学士以上の学位
それが、今回の会議では一部変更を検討しているようです。簡単にまとめると以下の3点が変更になる方針で進んでいます。
・420時間養成講座修了者、日本語教育課程修了者は試験の一部と教育実習を免除
・学士以上の学位は資格取得に不要
・10年毎の更新制度はなくなる
では、その変更点を詳しく見ていきましょう。
①筆記試験の概要
公認日本語教師では「筆記試験の合格」が必須となります。
ですが、420時間カリキュラムの修了もしくは大学での日本語教育課程で26単位以上を取得している方は、この筆記試験が一部免除になる可能性があります。
現時点で想定される筆記試験の概要です。
【パート1】
日本語教師に必要な基礎知識を問う問題+音声による問題。
【パート2】
現場での対応・問題解決能力を測る問題。
毎年10月に開催されている年1回の「日本語教育能力検定試験」と出題範囲や構成は大きな変化はなさそうです。あまり変化がないのであれば、長時間にわたる試験時間の可能性もあり、引き続き集中力が問われる試験となりそうです。ですが、裏を返せば大きな変化がなければ、国家試験になっても新たな対策をしなくても済むかもしれません。受験者にとっては受験しやすいかもしれないですね。
②学士以上の学位は見送る可能性
4年生大学の卒業が必須というニュースを見て、大卒以外の方は「国家資格制定前になんとか資格を取らなくては…!」とスクールに駆け込んだり、日本語教師の夢を諦めかけたりした方も少なからずいると思います。
そんな方にとっては朗報かもしれません。今回の会議では学位以上の学位は見送る可能性が高いようです。日本は少子高齢化社会で、将来日本には外国人の力が必須となる時代がすぐにでもやってくることでしょう。そのような時代にも対応できるよう、今後日本語教師のニーズが増えることを見越した施策のようです。
③資格取得後の更新制度は無しの方針
前回の会議までは、資格の有効期限を10年とし、更新年には講習の受講が必須という検討状況でした。これも教師側にとってはネックになる方もいると思いますので、少し環境がよくなりそうですね。ただ、必須であった講習がなければ、適宜知識のブラッシュアップは必要です。
まとめ
今回の会議では前回までとは異なる方針の変更がいくつか見受けられました。
近い将来日本語学習や日本での就労者が今まで以上に増加し、日本語教師のニーズが高まることを踏まえて検討を進めているようです。
国家資格化について、資格取得の要件等がまだ未確定のため、動き出すタイミングが難しくはありますが、国としても日本語教育に力を入れて舵をとっていることがわかります。
今でこそコロナ禍により一時的に留学生や訪日外国人が減少傾向ですが、アフターコロナでは少しづつ以前のような国内でも多数の外国人と出会う環境に戻ってくることでしょう。
検討内容が二転三転しており不確定要素も多い状況ですが、今後も情報が入り次第、記事でご紹介したいと思います。