少し前に大きく取り上げた『骨太の方針2018』では今後、広く外国人労働者を受け入れる方向となりました。
しかし一方で、不思議なデータがありました。
外国人留学生への在留資格の不交付が相次いでいるそうなんです。
しかも全ての外国人ではなく、極端にある国だけ交付率が激減といった状況になっているんだとか。
そこで今回は在留資格交付率の急な低下とその理由、日本の方々の声をまとめてみました
目次
在留資格交付率低下の現状とは?
「交付率が低下している」と言っても、どの国でどのくらい低下しているのか気になりますよね。まずは、具体的な数値や国を見ていきたいと思います。
交付率の低下について
全体の交付率はそれほど下がっていない
東京入管が日本語学校向けにまとめた資料によると、今年の4月期は2万9801件の申請があり、77・7%が交付されたが、10月期は1万6495件の申請に対し、65・6%の交付にとどまった。(朝日新聞より)
4月から10月の交付率の推移を見ても、交付率は約10%の減少でした。
私は正直、結構下がっているけれど「そこまで極端な低下ではないのでは?」と感じましたが、国によって大きく数値が変わってくるそうです。
一部の国で「全員不交付」
10月には、ネパールとスリランカから20人近くの入学を見込んでいたが、全員が不交付となった。
「学校経営が続けられるか不安になるレベル」で、入管に問い合わせたが、「国籍で判断しているわけではない」と言うだけで、詳細な理由は明かしてもらえなかったという。(朝日新聞より)
ある日本語学校では、このような実態があります。「全体的に審査が厳しくなった」というわけでなく、特定の国で極端に交付率が下がっているようですね。
ただ理由は不明確なことから、国内においても「一体何が原因なんだろう?」との疑問の声や、「やっときちんと審査してくれるようになったのか」といった安堵の声がありました。
日本人の意見
この「留学生の在留資格交付率の大幅な低下」に対して、日本の人々はどのように受け止めているのかをまとめてみました。
【賛成】審査の厳格化は妥当派
今までの審査が甘すぎただけ。やっと日本も正常な判断が出来るようになってほっとした。
地域・学校・飲食店、コンビニだって外国人が増えすぎ!留学生も労働者もそこまで増やす必要はないのでは?
【どちらとも言えない】基準が曖昧
「留学生30万人計画」とか言いながら「審査の厳格化」って、一体何がしたいの?
留学生には在留資格不交付で、労働者は新制度まで作って広く受け入れる。日本のやりたいことが良くわからない。
【反対】厳しすぎるのはかわいそう
日本に受け入れるべきかの適切な判断は必要だけど、いきなり「全員不交付」はさすがにやりすぎなのでは?
特定の国だけ厳格化しているようで、その国出身で真面目に取り組んでいる学生がかわいそう。
さまざまな意見があるけど、そもそも厳格化が進んだ理由ってなんだろう?
個人的には、私も「どちらとも言えない」といっている人の意見に同意でした。
交付率が極端に低下した背景とは?
交付率が大幅に低下したということは、審査が厳しくなったと考えられます。
では、どうして特定の国だけ交付率が下がってしまったのか原因を考えてみました。
不法滞在者の取り締まりが目的?
特に大幅に交付率が低下した国として挙げられたスリランカやネパールでは、交付率10%以下とほとんどの学生が在留資格を得ることが出来ませんでした。
調べてみると昨年、除籍・退学者が10名以上いた日本語学校は審査を厳格化しており、「中国・ベトナム・ネパール・ミャンマー・スリランカ」が対象国だったようですね。
この審査の厳格化の目的は「不法滞在者の取締り」でしょう。
実際に「授業に参加せず、ただ寝ているだけ」「アルバイトをしていて、ほとんど勉強をしていない」と言われる留学生がいます。
一部留学生の日本滞在の目的は留学ではなく出稼ぎ。そういった偽装留学生を取り締まる目的があったと予想されます。
「この国は危険」と国で判断している
「不法滞在者取り締まりが目的」なら、留学生全員の審査基準を厳しくすればよいのでは?と思うのですが交付率低下の状況から見ると、実際には以下の点から判断が下っているように捉えられます。
・事件を起こした国
・不法滞在者が多い国
日本人の意見でもあった通り、これでは本当に日本で勉強したいと考えている留学生が留学することを諦めてしまう結果となってしまいますよね。
また、スリランカやネパールの不法滞在者はそれほど多くないのでは・・・?と疑問が残りました。
存続不可となる可能性のある日本語学校も
その結果、特定の国から留学生を受け入れている学校には大きなダメージとなります。
突然生徒がゼロになるわけですから授業を行うことが出来ないですし、教師を継続して雇用することも出来ません。
日本語教師を目指す私にとっても、他人事ではない出来事でした。