日本語教師に必要なスキルシリーズ、今回は「共感力」です。
生徒たちの気持ちや悩みを親身になって聞き、信頼関係を築いていくには相手の気持ちを汲み取ることが大切。
特に、外国人の生徒との交流ではなおさら難しい課題かもしれませんね。
そこで、日本語教師に必要な共感力や共感力の育て方をまとめてみました。
「共感力」とは?
定義
共感を辞書で引いてみると「他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること」とあります。目の前にいる人が悲しんでいれば、その悲しみを同じように感じるなどが挙げられますね。
しかし、実際には他人の感情と全く同じ感情になるということはありません。また「共感」という言葉一つでも様々な定義がありました。
そこで今回は「他人の気持ちを感じ取り、推測する力」を一つの定義としたいと思います。
「共感力」の具体例
では、共感力の違いを表すシーンを見てみましょう。
佐藤さん(上司)
(他の仕事や会議もあり、とても忙しい様子)
部下A
部下B
部下C
3人の部下のうち、一番共感力があるのはCの部下です。
部下Aは「急いでいる」という言葉は受け取ったものの、自分の仕事を中心に考えています。
部下Bは、忙しそうな上司の様子は汲み取っていますが、「どのくらい急いでいるか」を推測できていませんね。
その点、部下Cは忙しい上司の様子と頼まれた資料の内容、普段の上司の様子や考え方(時間のあるときに資料に目を通したいなど)を感じ取っています。
このように共感力は、ビジネスシーンでも役立つ力となりそうですね。
日本語教師における「共感力」
日本語教師の「共感力」が必要な場面
では、実際の日本語教師を取り巻く環境では、共感力はどのような効果を発揮するでしょうか?
- 生徒の気持ちを把握し、わかりやすい授業ができる
- 注意や叱るときにも生徒の感情を意識できる
- 「先生はわかってくれている」という安心感を与えられる
日本語教師の授業運営において、最も大切なことは「生徒の気持ちを把握すること」です。
どんなに良い授業や質の高い教材を使用していても、生徒のレベルに合っていなかったり、モチベーションが下がっていては意味がありません。
また、授業中に騒がしい生徒を注意する場面や、宿題を忘れた生徒を叱るときも同じです。
感情的に伝えるのではなく、「いま生徒はどんな思いで、そのような行動をしたのだろう?」と感じて推測することで、生徒に伝わりやすい方法が思いつくはず。
そして生徒の気持ちを理解できるようになれば、生徒側も「この先生になら相談してみようかな」「授業でも、わからないところを詳しく説明してくれる先生だ」という気持ちになります。
生徒が安心して授業を受けられるようになれば、生徒の成績も良くなりますし楽しく授業をすることもできますよね。
「共感力」を育てるポイント
日本語教師として身につけておきたい「共感力」は、どのように育てていけば良いでしょうか。
- 他人の発言・行動・考え方に興味を持つ
- 自分と異なるタイプの人と積極的に交流する
- 「こんなときどう思う?」など意見交換してみる
「人の気持ちを理解したい」と自然と思える状況とは、相手に興味のある状態です。好きになった人や自分の子どもには、意識しなくても注意を向けていますよね。
その感情と同じ気持ちを他人にも向けることが出来れば、相手に共感できる部分が多く見つかるかもしれません。
また、誰もが自分の「当たり前」の基準を持っています。
ですが、他人の当たり前に気づかずに自分の意見や考えを押し付けてしまうこともあるんですよね。
そのため、自分と考え方の違う人との交流を増やしたり、実際に意見交換してみることで他人と自分の違いに気づき、理解しようという気持ちが生まれます。
そうすることで、様々な考え方や感情を持つ生徒の気持ちを理解することができるようになっていきますよ。
まとめ
共感力が高まっていくと、人との交流が楽しくなりますし、自分にとっても人生の中で色んな楽しみが増えていきます。
しかし、そこで1つ気をつけたいのは「わかったつもりにならないこと」です。
「あの人だからきっとこうだろう」という推測が外れてしまい、共感するつもりができていないことも多いものです。
共感力は大切ですが限界もあるもの。
いつも新鮮な気持ちで、他人を見る気持ちを育てていく必要がありそうですね。