新型コロナウイルスの感染拡大によって、日本語教育業界も打撃を受けています。
教室での授業の中止やオンライン化、日本語を学びたい外国人が日本へ渡航できなくなる状況が続きました。
しかし、日本へのワクチン供給が進み、コロナ収束後には徐々に日本に来る外国人も増えてくるのではないでしょうか。
そんな日本語教育界の今とコロナ収束後の未来について考えてみました!
目次
日本語教育界の今(Withコロナ期)
授業中止・オンライン化で講師の収入が減少
学校での授業が中止され、再開後も通学の制限や授業のオンライン化が進んでいます。
それにより、非常勤講師の大幅なコマ数削減など、日本語教育界で働く人たちもコロナの影響を大きく受けていました。
日本語教師の現状を見て、もしかすると日本語教師になることを考え直した方もいるかもしれません。
入国制限による入国者の減少
日本政府観光局(JNTO)が発表した2020年の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年比87.1%減の411万5900人となった(2019年は3188万2049人)。コロナによって、政府目標値(2020年に4000万人)は達成不可能となることが見えていたが、その目標値の約10分の1の着地となった。
2020年12月単月では、97.7%減の5万8700人。5月の1663人(前年比99.9%減)を底に、7月以降は段階的な国際往来の再開に向けた措置が進められ、少しずつ増加傾向にあった。しかし、12月は11月の5万6700人(同97.7%減)と同水準にとどまった。
(Yahoo!ニュース より一部抜粋)
「日本に来る人が減る」というのは日本語学習者が減ることに直結はしませんが、学習者の減少は各日本語学校でも起きています。
「学びたくても日本に来ることが出来ない」という日本語学習希望者は一定数いるのだと予想ができますね。
在留外国人、「技能実習3号」急増
3年間の実習期間を終えた外国人技能実習生が最長2年間延長できる在留資格「技能実習3号」の取得者が急増している。(中略)
在留資格「技能実習」は1年目を1号、2~3年目を2号としている。3号はこの3年間の実習修了後、技能検定3級相当試験に合格するなどすれば取得できる。法務省の統計によると、3号在留者は導入当初の17年は8人だったが、18年は7398人、19年は2万6356人と一気に増え、新型コロナウイルスの影響で海外との往来が途絶えた20年も伸び続けている。
(西日本新聞 より一部抜粋)
一方で、日本で働く外国人は減少どころか増加傾向にあります。
2017年から増え続けている3号在留者はコロナ禍でも伸び続けているのが現状でした。
日本語教育界の今後(Afterコロナ期)
ワクチン供給による「訪日外国人の増加」
日本でも医療従事者のワクチン接種が開始され、今後は私たちもワクチン接種が可能となるはずです。
それに伴い、日本への渡航制限の緩和や日本に対するコロナ感染への安全性も不安が減ることは間違いないでしょう。
今後、世界各地でも日本同様、ワクチン接種が拡がり、感染の心配がなくなれば徐々に訪日外国人の数は戻ってくると思われます。これまで入国制限があった分、短期間に多くの外国人渡航者が増える可能性もありますね。
「オリンピック開催地」としての認知度アップ
昨年、延期が決定した「東京オリンピック2020」。2021年には、今のところ開催する方向で準備がなされています。
オリンピック開催地として、世界で日本の認知度が上がることにより、「日本語を学びたい」「日本に行ってみたい」と考える人が増えることも予想されます。
実際、漫画やアニメのブームが日本語教育界に与える影響も大きいため、こうしたイベント等をきっかけに日本語学習者が増える可能性は高いのではと考えています。
「オンライン学習化」による日本語学習者増加への期待
また、コロナが収束したとしてもしばらくは日本への渡航を控える外国人学習者も多いでしょう。特に、今回のコロナ感染拡大で、母国に帰ることが難しくなったり、しばらく足止めされた方などは未だに「自分の国に帰れないかもしれない」という不安を抱えているかもしれません。
しかし、授業のオンライン化が進んだこともあり、そういった学習者にとっても新しい学びの選択肢が広がったとも言えます。
日本語を教える側にとっても、コロナの終息によって通常授業が再開することに加えて、新しいオンラインサービスの提供が可能となります。
以上、これまでの内容から「コロナが終息した際には、再び相当な勢いで留学生や外国人の方々が日本にやって来るようになり、日本語教育界はまた忙しくなる」といった可能性が高いと感じました。
コロナが終息するには日本もまだ時間が必要ですが、日本語業界の今後の盛り上がりを期待して、今からできる準備を少しずつ始めておくことが大切かもしれませんね。